一貫堂医学の必要性について ②

このような難治性疾患に予防という手段をとられたことは、大変貴重な
ことである。一つの予防は十の治療に勝ると言われている。
漢方が未病を治すと言われるが実際に具体的に示されたものは少ないと思う。

一貫堂医学は、現代の難病にも応用可能な医学と思えた。

物質代謝面から体質分類を行ない、胃腸の働き弱く消化吸収から同化作用
が悪い体質の者は、気虚の体質になる。
一般的には四君子湯類や補中益気湯の類であるが、一貫堂では防風通聖散で
異化作用を促進し、同化作用を喚起する方法をとることもある。

また、同化作用は非常に良いが中年から異化作用が衰えて、脂肪沈着や
中間代謝物の排泄が充分でなく生活習慣病になる者は、臓毒体質で
防風通聖散を使用できる。

子供の頃からエネルギー代謝が亢進しいくら食べても太ることのない。

「七儲けの八使い」タイプで陰虚 解毒体質は、中耳炎・扁桃腺炎・蓄膿症
・結核に罹患しやすい。

解毒体質で柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯を使用するとかなりの
体質改善に応用できる。

その他に、慢性疾患・難治性疾患にはかならず絡んでくる寒証の瘀血に
芎帰調血飲第一加減を、熱証の瘀血に通導散を使用する。
また、産後疾患の予防と駆瘀血薬の重要性も書かれている。
産後、関節リウマチや気管支喘息、精神病、膠原病など難治性の疾患が
発症する。これを予防する為に、産後直ちに芎帰調血飲第一加減を用いる。

古人は、よく「産後悪露尽きず」といっている。これは現代医学の悪露が
止まらないという意味でなく、産後に出してしまわなければ悪血・古血が
体内に遺って排泄されないという意味である。
産後の瘀血といって、これを除けばよいと考えたそうだ。

その他にこの体質分類を利用して使用されている。

処方別に見ると、

  • 通導散・・・・悪性腫瘍、打撲・外傷
  • 防風通聖散・・・脳血管障害、代謝異常症、めまい
  • 竜胆瀉肝湯・・・泌尿器疾患、肝胆疾患
  • 荊芥連翹湯・・・蓄膿症、痤瘡
  • 柴胡清肝湯・・・慢性化膿性中耳炎、慢性扁桃腺炎、小児疾患
  • 芎帰調血飲第一加減・・・リウマチ、潰瘍性大腸炎、子宮内膜症

など、現代医学の難病に対しても、対応できる処方群が数多くあり、
一貫堂処方の重要性を強く感じた。
森道伯という偉大な漢方医を忘れてはならないと思う。

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